わずかな血液からアルツハイマー病を診断

間もなく認知症社会に突入

来たる2020年、認知症の患者数は約600万になることが予想されています。
そして、2025年には730万人、2030年には830万人になり、2050年には1,000万人を超える推計となっています。
 
予備群を含めると人数はさらに多くなり、2025年には国民の1割以上が認知症または予備群という時代がやってきます。
 
認知症のなかで最も発症率が高く、認知症全体の6割を占めるのは「アルツハイマー病」です。
脳の神経細胞の減少や、海馬という記憶に関係する場所が萎縮するといった脳の変化が起きることで、記憶や思考能力にゆっくりと障害が生じます。
 
初期の段階のもっとも目立った症状は、物忘れです。
病状が進行すると、見当識障害(時間や場所、人物が思い出せない)や判断力の障害などが出現し、徐々に日常生活に支障がみられるようになります。
 
最終的には会話が困難になったり、身体の基礎的な能力が衰え、寝たきりになってしまう脳の病気です。
 
 

発症の原因

アルツハイマー病は、脳内に「リン酸化タウ蛋白(p-tau)」が異常に蓄積することで、脳細胞を委縮させることが発症の一因と言われています。
 
「リン酸化タウ蛋白」は、認知症の発症が近づいてきた時期から脳に蓄積し始め、その大脳内での広がりが認知症の発症と直接的に関連していることがわかっています。
アルツハイマー病にかかっているかどうかは、体内のリン酸化タウ蛋白の量を測定することでわかります。
 
しかし、現在の検査方法は、背中から針を刺して脳脊髄液を採取するため、体への負担が大きいという問題があります。
 
 

画期的な検査方法

アルツハイマー病を早期診断する方法が劇的に変わる測定法が開発されました。
 
京都府立医科大学の徳田隆彦(とくだたかひこ)教授、京都府立医科大学在宅チーム医療推進学の建部陽嗣(たてべ はるつぐ)特任助教らの研究によるものです。
 
今回の研究では、これまで髄液中でしか測定ができなかった「リン酸化タウ蛋白」を、ヒトの血液中で検出・定量できる定量システムを世界で初めて開発しました。
このシステムを使って、アルツハイマー病の患者さんと症状が出ていない人を比較したところ、アルツハイマー病の患者さんでは血液中のリン酸化タウ蛋白が有意に増加しており、アルツハイマー病の診断に有用であることが確認されています。
 
 
測定方法は、「リン酸化タウ蛋白」に結合して光る物質を目印として、特殊な分析機器で血液中のリン酸化タウ蛋白を従来の千倍の感度で検出しています。
わずか0.1ミリリットルの血液があれば、検出可能とのことです。
 
 
従来の髄液検査と比べて、体への負担が少なく簡単に採取できる「血液」を使ってアルツハイマー病を診断できるという画期的な研究結果は現在、実用化に向けて進んでいるそうです。

 

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