血液生化学検査

最終更新日3月 5, 2020 @ 3:37 PM

 

血液生化学検査とは

血液を遠心分離器にかけて、有形成分(赤血球や白血球、血小板など)や無形成分(血清)とに分離し、血清中の物質を化学的に分析して体内の異常を調べる検査です。
病気の診断や治療の判定、病状の経過観察に欠かせません。

 

血清とは、『抗凝固剤を加えずに放置した上清(凝固因子を含まない)』のことで、すべての不純物を取り除いた純粋な血液の成分です。アルブミンやグロブリンなどのタンパク質や脂質など、生命活動を支える重要な成分が含まれています。
 

血清は、身体中を流れる血液がうまく循環するようにコントロールしたり、体に必要なホルモンや栄養素を運搬したり、老廃物の排出、などの働きをしています。


 

 

血液生化学検査の検査項目

生化学検査

項目

 

説明

疑われる病気

蛋白

  

TP

総蛋白

血液中のタンパク質の総量のことです。

健康や栄養状態の指標として利用されます。

肝機能や腎機能の障害や栄養失調などにより、総蛋白も増減します。

 

高値:血液濃縮(脱水症)、自己免疫疾患、多発性骨髄腫など

低値:栄養不足、ネフローゼ、重症肝障害、原発性免疫不全症など

ALB

アルブミン

アルブミンは血液中に一番多い蛋白で、肝臓で生成されます。

栄養状態の指標となり、肝障害や腎障害の時に低下します。

 

高値:血液濃縮(脱水症)

低値:栄養不足、重症肝障害、ネフローゼ、蛋白漏出性胃腸症など

A/G

アルブミン・

グロブリン比

血清中のアルブミンとグロブリンの比を調べることで、血清蛋白の異常を知ることができます。

高値:低または無ガンマグロブリン血症

低値:肝臓障害、ネフローゼ症候群、たんぱく漏出性胃腸症、感染症、多発性骨髄腫など

肝機能

 

T-BIL

総ビリルビン

赤血球には寿命があり、約120日で分解されます。

分解の際に、ヘモグロビンが分解されて生じるものがビリルビンです。

ビリルビンは肝臓へ運ばれタンパクと結合して「直接ビリルビン」となります。タンパクと結合していないものを間接ビリルビンと言い、この2つをあわせて総ビリルビンと呼びます。

ビリルビンが増えて皮膚や眼の結膜が黄色くなることを黄疸(おうだん)と言います。血液中のビリルビンの値により、黄疸の程度などを含め、肝・胆道系疾患の有無やその程度を知ることができます。

高値:急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝炎、胆石、胆嚢炎、胆管がん、急性肝炎、閉塞性黄疸、溶血性貧血、新生児黄疸、体質性黄疸、高シャントビリルビン血症など

 

 

D-BIL

直接ビリルビン

総ビリルビンとともに肝疾患の診断の指標となります。

直接ビリルビンが高値の場合は、肝臓が悪くて排出できない、あるいは排出しても胆道がつまっていて流れない(閉塞性黄疸)になります。

高値:急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸など

 

AST

(GOT)

アスパラギン酸アミノ

トランスフェラーゼ

肝臓の病気の時に肝細胞が壊され、肝細胞から流出する逸脱酵素ですが、心筋・肝臓・骨格筋・腎臓などさまざまな臓器の細胞に存在しています。これらの臓器が障害を受けると、ASTが血液中に放出され、濃度が高くなります。

ASTの上昇は、肝臓の病気以外(心筋梗塞、心筋炎、肺梗塞、腎梗塞など)でも上昇します。

高値(100を超えるような場合):急性肝炎、劇症肝炎、急性心筋梗塞、進行性筋ジストロフィーなど

 

 

ALT

(GPT)

アラニンアミノ

トランスフェラーゼ

肝臓の病気の時に肝細胞が壊され、肝細胞から流出する逸脱酵素です。ALTも身体のさまざまな臓器に存在しますが、特に肝臓に多く含まれているため、肝細胞障害における特異性はASTに比べて高いです。つまり、ASTの上昇は、ALTより肝臓の病気に特異性が高いと考えられています。

高値(100を超えるような場合):急性肝炎、劇症肝炎、慢性活動性肝炎など

 

LDH

乳酸デヒドロゲナーゼ

体内の各種臓器に広く分布し、肝臓、心臓、腎臓などの臓器のほか、筋肉や血液にも存在する酵素です。これらの臓器や血液成分に障害があると、血液中に出てくるため数値が高くなります。

 

高値:急性心筋梗塞、溶血性貧血、悪性貧血、白血病、悪性リンパ腫、悪性腫瘍、急性肝炎、筋ジストロフィーなど

低値:先天性H型LD欠損症など

 

 

γ-GT

r-グルタミル

トランスフェラーゼ

肝臓の解毒作用に関与する酵素です。肝臓や胆道に病気がある場合に他の酵素より早く異常を示しますが、アルコールの影響で高値になりやすく、アルコール摂取による肝機能障害の診断の指標になります。

 

高値:アルコール性肝障害、慢性肝炎、肝硬変、胆汁うっ滞など

 

ALP

アルカリ

ホスファターゼ

肝臓や腎臓、小腸、胆のう、胆管、胎盤、骨など全身の幅広い臓器に含まれている酵素です。

ALP値は、主に肝臓や胆汁の排泄路である胆道の病気と、骨の病気のときに高くなります。

高値:慢性肝炎、急性肝炎、ウイルス性肝炎、転移性肝癌、閉塞性黄疸、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍骨転移、骨肉腫、骨軟化症、妊娠(30週以降)など

 

LAP

ロイシンアミノ

ペプチダーゼ

LAPはタンパク質を分解する酵素で、肝臓や腎臓、腸などに多く存在し、胆汁にも含まれています。

胆管などの胆道が閉塞(へいそく)して、胆汁の流れが障害されると、血液中に胆汁が逆流して、LAP値が上昇します。

高値:肝臓がん、肝炎、胆管がん、胆管炎、胆嚢炎、胆石、原発性・転移性肝癌、すい臓がん、子宮がん、卵巣がん、妊娠後期など

 

 

ChE

コリンエステラーゼ

肝臓、膵臓、腸、赤血球、神経組織に多く含まれる酵素です。

肝臓で合成されているため、肝機能をよく反映し、肝疾患により低下します。高値の場合はネフローゼ症候群や脂肪肝が、低値の場合は肝炎や肝硬変、農薬中毒などが疑われます。

高値:ネフローゼ症候群、脂肪肝、肥満、C5変異などの遺伝性ChE異常症など

低値:慢性肝炎、肝硬変、栄養障害、有機リン中毒、遺伝性ChE欠損症、がん、甲状腺機能低下症、妊娠高血圧症候群など

 

ZTT

硫酸亜鉛試験

(クンケル反応)

肝障害をみるために血清中の蛋白質の成分を調べる検査です。

膠質反応(血清にある種の試薬を加えると、血清中の蛋白質が凝固して、混濁したり、沈殿するのを利用した検査)のひとつです。

高値:慢性肝炎、肝硬変、慢性感染症、膠原病、多発性骨髄腫など

低値:多発性骨髄腫

 

TTT

チモール混濁反応

ZTTと同様、肝障害をみるために血清中の蛋白質の成分を調べる検査です。

膠質反応(血清にある種の試薬を加えると、血清中の蛋白質が凝固して、混濁したり、沈殿するのを利用した検査)のひとつです。

 

高値:急性肝炎(特にA型肝炎で著しい高値)、慢性肝炎(活動型)、肝硬変 膠原病、多発性骨髄腫など

低値:多発性骨髄腫

 

NH3

アンモニア

体内でできるアンモニアは肝臓で処理され尿素へと変えられますが、肝機能が低下すると肝臓は体内のアンモニアを処理しきれず、血液中のアンモニア値が高くなります。

肝硬変・劇症肝炎にともなう肝性昏睡(肝性脳症)の病態を把握するのに重要な検査項目です。

 

膵臓

AMY

アミラーゼ

消化酵素の一つで主に膵臓や唾液腺から分泌されます。

主にこれらの臓器の疾患で、血中や尿中にたくさん排泄され、値が高くなります。

 

高値:急性膵炎、慢性膵炎(急性増悪、代償期)、膵癌、耳下腺炎、子宮外妊娠など

低値:慢性膵炎(非代償期)、膵癌(末期)、シェーグレン症候群など

心機能

CK

クレアチンキナーゼ

骨格筋、平滑筋、心筋などに多く含まれる酵素で、これらの細胞が障害を受けると血液中に出てきます。CK(CPK)はさらに3種類のアイソザイムと呼ばれる分子構造などが異なる酵素群に分類されるため、これらを検査することにより臓器を特定できます。

運動後や筋肉注射を受けた後も増加することがあります。

高値:骨格筋疾患(進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎など)、心疾患(急性心筋梗塞、心筋炎など)、中枢神経疾患(脳血栓、脳梗塞など)

 

CK-MB

MB型

クレアチンキナーゼ

CKが高値の場合に由来臓器を調べる検査です。脳、骨格筋、心筋由来別に、CK-BB、CK-MM、CK-MBに分けられます。

 

腎機能

UN

尿素窒素

尿素窒素は、タンパクが身体の中で分解されたときにできる老廃物で、腎臓から尿中に排泄されます。

腎機能の働きが衰え、腎臓での排泄が低下すると、血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。

高値:腎不全、ネフローゼ症候群、尿路閉塞、脱水など

低値:肝硬変、劇症肝炎など

 

Cre

クレアチニン

クレアチニンは筋肉中の物質からできる老廃物で、腎臓でろ過されたあとに尿中に排出されるため、尿素窒素と同様に腎機能の指標にされています。

高値疾患:急性腎炎、慢性腎炎、腎不全、尿路結石、心不全、脱水など

低値:尿崩症、筋ジストロフィーなど

 

UA

尿酸

痛風と密接な関係があります。関節に突然激痛が起こる病気が痛風で、足の親指に発症しやすいと言われます。

尿酸は身体の細胞の核にあるプリン体が壊れてできるものです。

尿酸はプリン体という物質が分解されて生じた老廃物で、腎臓から排泄されます。尿酸の血中濃度が高値になると、尿酸の結晶が関節などに蓄積し沈着した結果、痛風という病気が起こります。また、慢性的に尿酸値が高いと動脈硬化を引き起こす危険性があります。

高値:痛風、核酸代謝亢進(白血病、骨髄腫、悪性貧血、多血症など)、高脂血症、腎機能障害など

低値:キサンチン尿症、重症肝障害、特発性腎性低尿酸血症など

電解質

Na

ナトリウム

ナトリウムは、体の水分を調節する働きがあります。

ナトリウムが高値の場合は脱水や低タンパク血漿が考えられ、低値の場合は嘔吐や下痢、ネフローゼなどが考えられます。

高値:発汗(熱中症など)、浮腫、尿崩症、原発性アルドステロン症、クッシング症候群など

低値:連続的な嘔吐、下痢、細尿管性アシドーシス、アジソン病、心不全、急性・慢性腎不全、ネフローゼ症候群など

 

K

カリウム

カリウムは神経や筋肉機能の調整をする電解質です。

腎不全などでは高値になり、嘔吐や下痢では低値になります。

 

 

高値:代謝性アシドーシス、慢性腎不全、アジソン病、低アルドステロン症、抗アルドステロン薬投与など

低値:代謝性アルカローシス、嘔吐、下痢、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、インスリン投与など

 

Cl

クロール

クロールは体内に酸素を供給する働きを担う電解質です。

ナトリウムと同様に体内の水分量の調節やpHの調節をしており、体全体の水分代謝に深く関係しています。

高値:ネフローゼ症候群、呼吸性アルカローシス、細尿管性アシドーシス、クッシング症候群など

低値:連続的な嘔吐、呼吸性アシドーシス、アジソン病など

 

Ca

カルシウム

Caは神経や血液中にあり、骨代謝だけでなく、精神安定や筋肉の収縮、出血を止めるなど重要な働きをしている物質です。

高値:原発性副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、ビタミンD中毒、慢性肉芽腫症、サルコイドーシス、骨代謝異常(悪性腫瘍の骨転移、多発性骨髄腫)など

低値:副甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ビタミンD欠乏症、特発性高カルシウム尿症など

 

IP

無機リン

無機リンは、無機リンはカルシウムとともに骨の重要な構成成分です。

血液中の無機リン濃度は、副甲状腺ホルモンおよびビタミンDにより調節されています。

高値:腎不全、副甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、ビタミンD過剰など

低値:副甲状腺機能亢進症、ビタミンD欠乏、特発性高カルシウム尿症など

糖代謝

GLU

グルコース

(血 糖)

血液中のグルコース(血糖)濃度です。

インスリンの働きで糖が代謝されるため、食後に血糖が上昇しても血糖値は元に戻ります。糖尿病でインスリンの作用が不足すると血糖値は上昇します。

高値:糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変など

低値:インスリノーマなどのすい臓の病気

 

HbA1c

ヘモグロビンA1c

(NGSP)

HbA1cとは赤血球中のヘモグロビンとブドウ糖が結合したものです。HbA1cを測定することにより過去1~2ヵ月間の血糖の状態が分かります。高い血糖値が続いているとHbA1cも高くなることから血糖コントロールの指標として糖尿病の検査に使われます。

高値:糖尿病、腎不全、慢性アルコール中毒など

低値:赤血球寿命短縮、低血糖症、ヘモグロビン異常症 の一部 など

 

75g

OGTT

75gブドウ糖負荷試験

糖代謝の異常を調べる検査法です。ブドウ糖水を飲んで経時的な変化を調べます。

 

脂質

T-CHO

総コレステロール

コレステロールは血液中に含まれる脂肪の一種で、細胞やホルモンを作るために必要な物質です。食事からも摂取されますが、多くは肝臓で合成されます。

高コレステロール値のままにしておくと動脈硬化が進行し、脳梗塞や高脂血症などさまざまな病気の危険因子となります。

 

高値:動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症など

低値:肝機能障害、甲状腺機能亢進症、栄養障害など

 

HDL-C

HDL-コレステロール

善玉コレステロールと呼ばれています。

この値が高いと動脈硬化に予防的に働き、低いと動脈硬化の危険が大きくなります。

高値:薬剤(クロフィブレート、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の影響、CETP欠損症など

低値:動脈硬化、糖尿病、肝硬変、腎透析など

 

LDL-C

LDL-コレステロール

悪玉コレステロールと呼ばれています。

この値が高いと動脈硬化の危険が大きくなります。

高値:高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、動脈硬化、ネフローゼ症候群など

低値:甲状腺機能亢進症、肝硬変など

 

TG

中性脂肪

エネルギー源として重要ですが、この値が高いと内臓脂肪を増やしたり脂肪肝の原因、動脈硬化の危険因子となります。

高カロリー食やアルコールの過飲などで過剰に摂られたエネルギーは中性脂肪として貯蔵され、さらに増加すると皮下脂肪や肝臓に蓄えられます。

高値:糖尿病、ネフローゼ症候群、メタボリックシンドローム、甲状腺機能低下症、脂肪肝、急性膵炎など

低値:甲状腺機能亢進症、肝臓病、栄養不良など

炎症蛋白

CRP

C反応性蛋白

体内に炎症(リウマチ熱、細菌感染など)があると血液中に現れる蛋白質(C反応性蛋白)の量を測定するものです。炎症や組織の損傷で上昇します。

軽度高値:動脈硬化性疾患、糖尿病、肥満、高脂血症など

高値:感染症、悪性腫瘍、リウマチ熱、心筋梗塞など

 
 
 
 
 

   

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