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1000人に1〜1.5人はパーキンソン病
順天堂大学の研究チームが、血液中のカフェイン濃度を調べてパーキンソン病を診断する方法を発見した、と発表しました。
現在、日本人では約14万人の患者がいるといわれているパーキンソン病。
脳の中の特定の神経細胞群が少しずつ障害を受けて、神経細胞が減っていく病気です。
パーキンソン病で減ってしまう神経細胞は、体の動きや働きに関係しているため、スムーズな動きができなくなってしまいます。
たとえば、動きが遅くなったり、動作が小さくなったり少なくなります。
また、手足の震えや、バランスがとれないなどの症状が出ます。
私の祖母も60歳を過ぎてパーキンソン病になりました。
歩くときは歩幅が小さく小刻みになったり、次の一歩がなかなか踏み出せなかったり、全体的に体がかたまってしまっているような状態だったと記憶しています。
パーキンソン病とカフェイン
原因がまだはっきり解明されていないパーキンソン病ですが、カフェインがパーキンソン病の予防に効果があるということが最近の研究でわかってきました。
その報告に着目した順天堂大学の研究チームは、健康な人とパーキンソン病の患者にそれぞれほぼ同じ量のカフェインを摂取してもらい、血液中のカフェイン濃度の差を調べました。
その結果、患者の血液中のカフェイン濃度は、健康な人の三分の一だったことがわかりました。
その理由として、患者は、カフェインを小腸から吸収する力が弱いことが考えられるとのこと。
実は、カフェインには脳の神経細胞を保護する作用があるそうです。
しかし、パーキンソン病の患者は、カフェインを吸収する力が弱いため、脳の神経細胞を保護する効果が得られにくく、健康な人よりも神経細胞が傷つきやすい状態だと考えられます。
パーキンソン病を血液検査で診断
順天堂大学の研究チームの研究によって、カフェインと、9種類の関連物質の血液中の濃度を調べることで、パーキンソン病を高い確率で診断できることがわかりました。
現在のパーキンソン病の診断は、患者への問診や画像の診断によって行われていますが、血液検査で診断ができれば、簡便で患者への負担が少ない方法で調べることができます。
また、パーキンソン病は、症状が出る10年以上も前から、脳の神経細胞が減少しはじめると言われています。
そのため、今回の研究は、パーキンソン病を発症する前の段階の人を発見することについても期待される内容です。
それ以外にも、皮膚からカフェインを投与するなどの方法によって、パーキンソン病の患者の血液中のカフェイン濃度を増やすことで、発症の予防や進行を遅らせることにも期待が高まります。
神経難病といわれるパーキンソン病の早期発見、早期診断、早期治療に繋がっていってほしいです。