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CT検査とは
CT(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)検査は、X線を体に照射し、360度方向から収集した情報をコンピュータで解析・処理し、体内の構造を断面像として得る検査です。
体内の様々な病巣を発見することができますが、特に心臓、大動脈、気管支・肺などの胸部、肝臓、腎臓などの腹部の病変に関しては、優れた描出能が知られています。
短時間でほとんど苦痛なく検査できるうえに、画像の解像度が高く、多くの情報を得ることができることから、近年最も多く用いられる画像検査の一種です。
検査方法
寝台に横になった状態で、ドーナツ状のCT装置の中に入ります。
CT装置の中では、X線が体の周囲を360度回転しながら体に向けてX線照射します。
各方向からの収集した像をコンピューターで処理することで、体を 「輪切り」にした断面像を作成します。
CT検査の種類
【単純CT検査】
・検査方法 :造影剤(薬)を使用しないで検査する方法
・得られる画像 :一度の撮影で任意の断面での観察や3D画像
・一回の撮影時間:5~10分
【造影CT検査】
・検査方法 :造影剤(ヨード製剤)を静脈から注射して検査する方法(食後3〜4時間経過後)
・得られる画像 :血管や各臓器の血液の流れを調べることができ、より多くの情報を得ることができる
・一回の撮影時間:5~20分程度
造形CT検査
【造影剤とは】
CT検査で使用する造影剤は、一般に「ヨード製剤」と呼ばれるもので、いくつかの種類があります。
通常、静脈に注射して撮影を行います。
【メリット】
造影剤を静脈内に注入することで、鮮明な画像が得られ、血管の状態、臓器や病変の血流状態や特徴がわかり、より正確な診断が可能となります。
このため、全身の様々な部位の検査において、造影剤が用いられています。
【副作用】
造影剤によって、まれに副作用が生じることがあります。
検査中や検査直後に生じる副作用としては、吐き気、嘔吐、熱感、皮膚の異常、くしゃみ、せきなど程度の軽いものがほとんどですが、まれに血圧低下や呼吸困難などの症状が出る場合があります。
また、検査後数時間から数日後に生じる副作用として、体のだるさ、頭痛、皮膚の異常などがあります。
CT検査でわかること
- 頭部CT
脳内を輪切りにした画像から、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍などの病変の場所や広がりを診断します。
脳出血、クモ膜下出血、脳腫瘍、外傷による出血、骨折、脳梗塞、脳腫瘍などの占拠性病変、脳萎縮、水頭症、ピック病、器質的変化を伴うてんかんなどで異常を示します。
- 頭部CT
咽頭、喉頭、甲状腺、扁桃腺、頚部リンパ節などを詳しく調べられます。
甲状腺腫瘍の診断に有用で、頸部のリンパ節腫大や耳下腺、顎下腺の腫脹があるときや、喉頭がんが疑われるときにも、この検査が行われます。
- 胸部CT
肺などの臓器の形状や構造、血管の内部の様子なども鮮明に見えるため、肺炎、肺がん、肺結核、気管支拡張症、気胸、胸部大動脈瘤、肺動静脈瘻、心臓疾患などの病変が、小さなものまで発見できます。
- 心臓CT
心臓に酸素や栄養をおくる冠動脈という血管の状態や、心臓の全体像がわかります。
心筋疾患、心臓腫瘍、大動脈瘤、大動脈解離、肺血栓塞栓症などの診断や、冠動脈疾患の治療後の経過観察などに用いられます。
心臓CT検査は、カテーテル(特殊な細いプラスチック製の管)を使用せず、造影剤を注射することで冠動脈の評価が可能なため、心臓カテーテル検査に比べて低侵襲で、体の負担が少ない検査です。
- 腹部CT
腹部にある臓器(肝臓、胆臓、すい臓、脾臓、腎臓、子宮、卵巣)の診断に有用で、良性・悪性腫瘍の有無や進行具合、広がり、周囲との関連性などを調べるために重要な検査です。
肝臓がんや胆嚢がん、胆道がん、胆石、胆嚢炎、肝硬変、膵炎、大動脈瘤などがわかります。
- 四肢CT
股関節、膝関節、手足などの撮影を行います。
四肢の血管の狭窄(血管が狭くなる)・閉塞(血管が詰まる)や、下肢静脈瘤などの血管病変の評価をすることができます。
また、通常のレントゲン検査では見えにくい細かい骨折や軟部組織の評価に有効な検査です。