女性特有のがんとは?
女性特有のがんには、乳がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がんなどがあります。
今回は、「子宮頸がん」「卵巣がん」の特徴についてまとめました。
<子宮頸がん>
【特徴】
・子宮の入り口、子宮頸部にできる「がん」
・子宮頸がんにかかる人は、20歳代後半に急増し、30歳代〜40歳代でピークを迎える
【原因】
子宮頸がんが発生する原因は、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスに長期にわたって感染することと考えられています。
HPVは性交渉によって感染するため、多くの女性が一生に一度は感染すると言われていますが、すべての人ががんになるわけではありません。
通常はウイルスに感染しても、免疫機能が働いてウィルスは排除されます。
ところが、ウィルスが排除されずに、長期間感染が続くことがあり、このような場合に、数年を経て子宮頸がんを発症するとされています。
【症状】
子宮頸がんの初期は、ほとんど症状がありません。
進行すると、不正出血(月経以外の出血)、おりものの増加、月経時の出血量の増加、月経期間が長引くなどが見られます。
下腹部の痛み、腰痛、性交時の痛みなどの症状が現れることもあります。
【リスクが高めの人】
・妊娠、出産の回数が多い
・性交渉の経験が多い
・初交年齢が低い
・性交渉のパートナーが多い
・喫煙歴がある
【対策】
1.自治体の子宮頸がん検診
・検診方法:問診、視診、細胞診(自治体によってはHPV検査)
・対象者 :20歳以上/2年に1回
・費用 :無料〜2,000円程度
2.健康保険組合や職場が行う子宮頸がん検診
・検診方法:健康保険組合や職場によって異なる
・対象者 :健康保険組合や職場によって異なる
・費用 :一部補助を受けられるため、低価格(〜2,000円程度)
3.医療機関の子宮頸がん検診
・検診方法:問診、視診、細胞診、HPV検査
・費用 :3,500〜8,000円程度
<卵巣がん>
【特徴】
・卵巣は「沈黙の臓器」と呼ばれていて、病気があっても症状が現れにくく、発見される頃にはすでにかなり進行している場合がある。
・卵巣がんにかかる人は、40歳代から増加し、50歳代〜60歳代でピークを迎える。
【原因】
卵巣がんの発生には複数の要因が関与しているといわれています。
まず、遺伝的要因が5〜10%あると考えられています。
また、排卵の回数が多いと卵巣がんになりやすいと考えられているため、妊娠や出産の経験がない場合や、初経が早く閉経が遅い人などは、卵巣がんになりやすいとされています。
また、子宮内膜症や、骨盤内炎症性疾患などの婦人科疾患も、卵巣がんを発症しやすい要因を持ち合わせていると考えられています。
【症状】
卵巣がんの初期は、目立った自覚症状がないことが多いです。
腹痛、下腹部にしこりが触れる、お腹が張る、トイレが近い、食欲の低下などの症状があるときには、すでに腫瘍がかなり大きくなっていて、がんが進行していることも少なくありません。
【リスクが高めの人】
・妊娠、出産の経験がない、あるいは少ない
・初経が早く、閉経が遅い
・肥満
・排卵誘発剤の使用
・ホルモン補充療法
・多のう胞性卵巣症候群
・血縁関係のある親族に卵巣がんや乳がんの人がいる
【対策】
1.医療機関の卵巣がん検診
・検診方法:内診、超音波検査、血液検査、画像検査
・費用 :数千円
早期発見が可能な子宮頸がん、早期発見法が確立していない卵巣がん
子宮頸がんの場合、無症状のときからでも婦人科の診察や、検診などで早めに発見することが可能です。
仮に、子宮頸がんと診断されても初期の段階で発見されれば、子宮頸部の異常な組織だけを取り除く手術(円錐切除術)によって、子宮や卵巣が温存できるので、治療後に妊娠の可能性もあります。
子宮頸がんは唯一、予防ワクチンがあります。
予防ワクチンは、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる、2種類のHPVの感染やがんになる手前の異常(異形成)を90%以上予防した、と報告されています。
しかしながら、予防ワクチンは副作用の問題等で賛否が分かれているのが現状です。
ワクチンによって、注射部位の痛み・腫れなどの副作用が発生する頻度は10%以上あり、約96万接種に1回の頻度で、呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアレルギーを起こしたことなどが報告されています。
一生のうちに子宮頸がんと診断される人は、およそ74人に1人と言われていますので、子宮頸がんにかかる可能性と、ワクチンの有効性・リスクを十分に理解した上で、ワクチンを接種するかどうかを判断した方がよさそうです。
卵巣がんについては、残念ながら、早期に発見する方法が確立されていません。
それは、卵巣が骨盤の奥にある臓器のため、簡便に検査する方法がないからです。
また、進行が早いため、定期的に検査をしていたとしても、見つかったときにはすでに卵巣の周囲にある卵管や子宮、直腸、膀胱など、卵巣に近い臓器ほどに転移している場合もあるそうです。
早期に発見できる「がん」もあれば、そうでない「がん」もあります。
少なくとも1年に1回、定期的に婦人科系の検診を受けることが予防につながることだと思います。
自分のカラダは自分で守る、に尽きると思いますので、定期的な検査は欠かさないようにしたいですね。
そして、何か異変を感じたら、放置せずに、まずは病院にかかるということも大事だと思いました。