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ナッツアレルギーに関する新たな研究
1種類のナッツにアレルギーがある場合、必ずしもすべてのナッツ類を避けるべきではない、ということが新たな研究で判明しました。
アメリカのアレルギー研究者たちの報告では、1種類のナッツでアレルギーを起こした人々の半分以上が、他のナッツ類には反応しなかったとのこと。
(ここで言うナッツ類には、アーモンド、ブラジルナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、クルミとヘーゼルナッツが含まれます。)
研究では、1種類のナッツにアレルギーをもつ100人以上の医療記録を調べ、他のナッツ類にアレルギー反応があるかどうかをテストしました。
検査方法は、プリックテスト(皮膚テスト)または血液検査(特異的IgE検査)および*食物経口負荷試験です。
その結果、皮膚テストまたは血液検査で他のナッツ類に感受性を示したにもかかわらず、食物経口負荷試験では50%以上が反応しなかった、という結果が出ました。
研究者のひとりは、「食品に対する皮膚テストや血液検査は絶対ではなく、誤った陽性(疑陽性)が出やすい」こと、「食物経口負荷試験は、患者がアレルギーであるかどうか、あるいは特定のアレルゲンを判断する最も客観的な検査」であると説明しています。
*食物経口負荷試験とは、疑わしい食べ物を数時間かけて徐々に量を増やしながら摂取し、専門医がアレルギー反応を評価する検査方法です。
ピーナッツはナッツ(木の実)ではない!
同じ研究において、ピーナッツアレルギーの人のほとんどが、その他のナッツ類にアレルギーがないことも発見されました。
実は、ピーナッツはマメ科の植物で、ナッツ(木の実:tree nuts)ではありません。
日本では『落花生』とも言いますが、それは花が地面に落ちて、その地面の中で実が生まれるため、そのように呼ばれるようになりました。
「ナッツ」というのは、木の実やその種子のことで、硬い皮や殻に包まれた”木の実”のことをいいます。
地中に根を生やして育つマメ科のピーナッツは、樹木のナッツではありません。
しかし、殻が硬く、形や味が木の実の仲間に似ており、栄養が豊富であることから、「ナッツ類」として取り扱われることが多いのです。まぎらわしいですよね・・・
わたし自身、ピーナッツアレルギーをもっています。
ピーナッツアレルギーがあることを飲食店などに伝えた時に、必ずと言っていいほど、「他のナッツは大丈夫ですか?」と聞かれます。
私の場合も、他のナッツ類にアレルギーはありません。
ピーナッツという名称に「ナッツ」が入っていること、見た目も木の実に似ていることが「ナッツ(木の実)」であるという誤解を生む原因のような気がしています。
アレルギーの診断は慎重に
ナッツと一口に言っても、木の実類や種実類(ごま、松の実、ひまわりの種、マスタードなど)など、種類は豊富です。
厚生労働省が表示義務および表示奨励をしているナッツ2種類を含む、代表的なナッツアレルギーは以下の通りです。
- ピーナッツ(表示義務)
- クルミ(表示奨励)
- ペカンナッツ
- アーモンド
- ヘーゼルナッツ(ハシバミ)
- カカオ
- ココナッツ
- ブラジルナッツ
- カシューナッツ
- ピスタチオ
ナッツ類は、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす頻度が高いアレルゲンです。
しかし、1種類のナッツにアレルギーがあるからといって、その他のナッツ類をすべて除去するかどうかは、専門医への確認と相談をおすすめします。