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SPECT検査とは
SPECTとは、single photon emission computed tomography(単一光子放射型コンピュータ断層撮影)の略です。
ラジオアイソトープという放射性物質を含む薬剤(放射性医薬品)を体内に投与し、薬剤から放出される放射線を特殊なカメラで検出して、臓器の状態を画像化する検査です。
体内に入った薬剤は、特定の臓器に集まり、そこから放射線を出します。
この放射線を体外から測定し、薬剤の分布状況を輪切りの画像(断層画像)にすることで、病気の診断に利用します。
薬剤の種類によって、調べる臓器や、どのような機能を反映するかが決まり、検査の種類が異なります。
脳内の血流を調べるときは、血流の多いところに多く、少ないところには少なく集まる薬剤を使い、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などを調べます。
SPECT検査は、脳、心臓、肺、腎臓のほか、腫瘍、炎症、甲状腺、骨などにも利用されています。
検査の目的
PET検査と同様、体の「機能・性質」を観察することを目的に使われます。
体内に投与した薬剤の分布の速度や集まり具合を調べることで、脳や心臓などの臓器の血流の状態や機能の状態を検査することができます。
検査でわかること
脳や心臓の血流量、臓器の形、大きさ、働き、炎症や腫瘍の有無などがわかります。
SPECT検査は、直接血流の状態を調べるため、萎縮など形の変化がまだ見られない初期の段階でも異常がわかります。
脳血管障害や心臓病、がんなどの早期発見に有効とされています。
また、脳梗塞や脳出血、アルツハイマー病、てんかんなどの診断や、治療効果の評価などにも用いられています。
CT・MRI検査との違い
CT・MRI検査では、主に臓器の「形や大きさ」や体の構造を調べるのに対して、SPECT検査では、臓器の「機能(働き)や病気の活動性」などを調べます。
そのため、SPECT検査では、従来の検査では表せなかった血流量や代謝機能の情報が得られます。
PET検査との違い
PETとSPECTはともに、ごく微量の放射能の「しるし」を付けた薬を投与することにより、脳の活動を画像として評価できる検査です。
PETとSPECTの撮影原理は、人体から放出される放射線を体の外から測定するものでよく似ていますが、使用する薬が少し異なり、撮影する機器の構造も異なります。
SPECTは、複数の検出器が回転しながら断層撮影を行いますが、PETはリング状の検出器で様々な角度から放射線を検出することが可能です。
原理の違いのため、PETはSPECTに比べ、より正確に計測することができます。